明日9月24日からザ・ロイヤルゴルフクラブで始まる2019年女子プロテストA地区のペアリングが発表になりました。
これまでの記事で紹介していない選手で注目なのは、
チャン・ウェイウェイ選手ですが、2017年にステップアップツアーで優勝し、レギュラーツアーにも数回出場していましたのでご記憶の方も多いでしょう。美人ですし。
昨年は最終プロテストに進みながら棄権でした。
さらに第一次予選から参加してトップ通過で第二次に進む
このフォン・スーミン選手などは、米国ヴァンダービルト大学卒で身長175cmとプロフィールにありますので、文字通りの大型候補ということになるでしょう。上記の二人は共に中国出身で、今年はアメリカに拠点を置いていたようですが来年の出場権を得るために参戦してきたということになります。
このように「プロテスト合格しないとQT受けられない」ルールへの変更により、プロテストも多国籍化が進んでいると言えます。
今回の記事ではこの大変更による今後の影響を考察して、この話題を終わりたいと思います。
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プロテスト受かると(落ちると)どうなるの?
まず何度も言っているように、まずプロテストがありまして、そこで合格(20位タイまで)か、合格者のスコアの「+2打」までに入らないと、来年度の出場権を決めるQT(クオリファイイングトーナメント)に参加出来ません。よって今年の第一次予選からプロテストを受けている選手は
第一次予選(既に終了)を勝ち上がって
第二次予選を勝ち上がって
最終プロテストで20位+2打までに入って
QTのファーストステージで上位に入り
QTのファイナルステージで一つでも上の順位を目指す
という全部で5つの競技に出場しなければなりません。プロテストに合格すれば来年以降はQTだけになります。もちろん賞金シード取れるのが一番いいのですが。ただし今年合格出来ないと毎年このスケジュールになります。で、現在の選手の状況ごとにちょっと複雑ですが場合分けして「受かると(落ちると)どうなるか」を考えてみます。
現在アマチュアの選手がプロテスト不合格の場合
昨年まではQTで上位に入ってTP単年登録というのが普通でしたが、おそらくこの手法は今後激減すると思われます。というのはプロテストに合格しないとそもそもQT受けられませんので、プロ宣言をしても主催者推薦枠の出場(最大8回)しか出来ません。アマチュア資格は一度喪失(プロ宣言)をしてしまうと永久に復活しませんので、アマチュア大会には今後出られません。
よって「アマチュア資格を維持して、アマでレギュラーツアーの推薦をもらったり、大学主催の大会に出場する」という選択肢が最も合理的だと思われます。
このことから、今後は(高校三年生の秋に)プロテスト不合格の場合、大学に進学する選手が増えるのではないかと思います。河本結選手(日体大)や安田祐香選手(大手前大学)のように、高校三年時にプロテストを受けられなかった選手で大学在学中の選手が多いのはこうした影響だと思われます。
問題はプロテストに受かった後なのですが、レギュラーツアーを全部出場出来るとなると、3月〜11月までほぼ毎週ひっきりなしに試合になりますので、なかなか普通に卒業するのは難しいのではないかと思います。それでも籍を置かせてくれる、あるいはプロテスト合格したら中退してもいいという条件で推薦入学出来る大学がどのくらいあるのかはわかりませんが。
現在アマチュアの選手がプロテスト合格し、QTファースト敗退の場合
これが微妙なんですが、これまでプロテストは夏に行われまして、合格者はその終了翌日付けでLPGA入会している場合がほとんどです。しかしLPGA入会=アマ資格喪失なので、QT失敗して出られる試合が推薦しかないのであればアマ資格維持した方が良かったじゃんという場合もあると思うのです。なのでこのあたりややこしいのですが、いずれにせよLPGA会員の選手がQTのファーストで敗退した場合、QTランキングは付くでしょうけれども下位の場合は、来年度は推薦による出場を目指すしかありません。
現在TP単年登録の選手がプロテスト不合格の場合
これが一番苦しいパターンで、アマ資格は復活しませんし、特殊な資格(今年のステップ優勝など)がないかぎりQT出場が出来ません。当然来年度の試合は推薦出場しかありませんので、登録料を払ってTP単年登録して推薦で出場する試合でしっかり賞金を積み上げてリランキングで上位を狙うという可能性にかけるしかありません。それか来年のプロテストまでトレーニングするかです。
現在TP単年登録の選手がプロテスト合格のちQTファースト敗退の場合
来期が推薦でしか出場出来ないのは上記と同じなのですが、単年登録料がかかりません。スポンサーとかついてくれるかもしれません。また翌年のスケジュールもQTに集中出来るので、精神的にはかなりラクになるのではないかと思います。
ウラ技
「LPGA ティーチングプロフェッショナル資格」を取得する。
規約見るとQTに参加できるのは「LPGA会員(ティーチングプロフェッショナル会員含む」とはっきりくっきり書いてあります。もちろんそんなにすぐ取れるものでもないのでしょうけども、技能試験はまぁパス出来るでしょうから、このレベルの激戦プロテストを勝ち上がるよりも堅実なのではないかと思います。特に上記に書いたように、今後大学進学者の割合が増えるのであれば、在学中からしっかりと勉強もして一発試験のプロテストと、時間をかけて取得するティーチングプロ資格取得の二本立てで人生設計するのが良いのではないかと思います。LPGA側にそういう意図があるのかはわかりませんが。
実質的な外国人選手の締め出しという論調について
「このような制度に変更したのは外国人選手、特に現在上位にいる韓国人選手の締め出しが目的だ」という論調を見かけます。
たしかにこれまでは拠点を海外に置いている選手であっても、QTだけ受けに来て上位に入れればそれで来年度の出場権を確保出来たわけです。これまで日本で活躍してきた選手たちの多くがそのようにして日本での立場を築いてきたことも事実です。また、今回の変更によりプロテスト3試合とQT2試合というような長期戦になれば、やはり拠点を日本に置いている日本人選手の方が有利と思えなくもありません。
でも、例えば韓国の選手にしてみれば、日本への移動ってアメリカのLPGAツアー期間中の移動に比べればカスみたいなものだと思うのですね。なのでプロテスト三回受けてQTというのも、都度本国に帰国してコンディションを整えることも充分可能だと思うのです。
逆に言えばこれまでのQTは、日本でやっている選手からすれば、海外から突然すごい選手が来て出場権をかっさらっていくという状況だったとみることもできます。
「いやこれまでが外国人選手が逆に優遇されすぎなだけだったんですよ。今回の変更は日本人もそうしているのだから、外国人選手も日本のプロテスト合格してからQTを受けてくれと言っているだけなんですよ。」
というどっかで聞いたような優遇措置外しの議論のようです。
「これまでの制度では海外のトップレベルの選手が突如日本でプレーすることが可能だったが、今後は出来なくなるので日本のゴルフのレベルが衰退する」という主張もあるのですが、実は米国LPGAの大会賞金はそれほど高くありません。男子を見てると賞金総額900万ドルとかものすごいのですが、米国LPGAは人気が凋落していて、逆に日本はスポンサーが増加傾向です。しぶこ効果や、来年も若手がガンガン活躍することが予想されますのでこのトレンドはしばらく続くでしょう。結局プロは、基本的には賞金が高くて盛り上がっているフィールドを目指すと思うのです。なのでこれからも強い選手は日本にどんどん来るだろうと思います。
韓国人選手が米国でプレーするのはやはり永住権を取得したいという要素が大きいと思います。日本はその点で、二重国籍も認めていませんしハードルが高いとは言えます。ただそのことに外国人(韓国人)締め出しの意図があるというのもイチャモンではないかと思います。単純に日本が好きなら来るだろうと思います。現にこれまでも来てますから。
何よりも今年の第一次プロテストのリストを見れば外国人選手いっぱいいますし、大会数や賞金総額も増加トレンドであると考えれば「日本でプレーしたい」と考える外国人選手が増えることはあっても減ることはないと思います。
もし私がLPGAの参謀だったなら、ゴルフにチカラを注いでいる高校の関係者を招いて、「タイとかフィリピンとかインドとかベトナムとか、そういう途上国でゴルフ上手くて将来スターになりそうな娘をドンドン探して日本に留学させてください。LPGAも手伝います」ともちかけますね。そして高校三年間で日本の文化や日本語をしっかりと吸収して、日本LPGAでスターになれる要素を持った外国人選手を作り出します。早い話日本スポーツ界では美人で強くてちょっと日本語出来れば、国籍関係なくほぼスターになれます。こんなにわかりやすく差別感情の少ない国はないと思います。
で、そうなれば、タイとかフィリピンとかインドとかで日本LPGAの大会をやればよいのです。USLPGAと同じ手法ですが。韓国に行ったのが悪手でしたね。市場が大きいわけではないので。
で、最終的には「インペリアルカップ」とか言って、日本人選手対アジア選手連合の団体戦を2年に一回やるとかですね。会場は日本と海外持ち回りで。むちゃくちゃお金動きそうな上に日本のイメージアップになるコンテンツになると思うんですけど。Jリーグだって東南アジアのサッカー少年にとってはかなりの夢舞台なんです。
いずれにせよ今回の変更は、日本女子ゴルフ界の未来に大きな影響を与えるものであることに間違いはありません。それが素晴らしい影響になることと、選手のみなさんの健闘をひたすら祈念してこの話題を終わります。