記事の更新をすっかりサボっている間に、
またデシャン坊が勝ちやがったらしい
こちらの記事によると
プレーオフ第一戦を制したことで
・Fedex Cupランキング1位に浮上
・ライダーカップにもキャプテン推薦で選ばれる可能性大
ということになりました。ライダーカップは日本ではCSでしか放映ないけど、早い話が欧州 vs 米国の団体戦で、2年に一回行われるものです。この代表に選ばれるのはアメリカ人にとって大変名誉なことらしいです。このブログ始めた頃はプロ転向したてで妙ちきりんなパッティングスタイルと(いまだに妙ちきりんな)スイングで世界中の笑いものになっていましたがずいぶんと出世したものです。
このブログのお題でもある「ザ・ゴルフィングマシーン」という本の存在を知ったのは、デシャン坊が2016年のマスターズでローアマになったニュースを見たことがきっかけなので、ある意味このブログの恩人と言えなくもありません(ちょっとムカつくけど)。なので彼がどんな人物でどんな信条でゴルフをしているのかを軽くまとめてみたいと思います。
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キャリア
カリフォルニア出身で大学からテキサス(南メソジスト大学の物理学専攻)に行ったとWikpediaには書いてあるんですが、彼のコーチであるマイク・シャイと、テキサスのメーカーであるイーデルゴルフ(マイク・シャイとデイビット・イーデルは共にベン・ドイルに師事しているんですが、このあたりの経緯はこの記事でも読んでください)とはガキの頃からのつきあいのはずです。
大学三年時に、アメリカのアマチュア最高峰の試合である、NCAA選手権と全米アマを勝ちますが、同一年にこの二つのタイトルを獲得したのは過去、ジャック・ニクラス、フィル・ミケルソン、タイガー・ウッズ、ライアン・ムーアの四人だけで、この頃からスーパースター候補と目されるようになります。
2016年のマスターズでローアマを獲得した後、大学が出場停止になったことからプロ転校します。それと同時にコブラ(プーマゴルフ)と契約してイーデルをがっかりさせます。
2016年は道具もフィットしていなかったのかあまりパッとしませんでしたが、2017年に入ってジョンディアクラシック、今年に入ってメモリアルと今回のノーザントラスト選手権を勝って、現在に至ります。
スタイル
彼の代名詞と言えば、アイアンの長さが2長さ37.5インチ(日本仕様だと6番アイアンくらいの長さ)で3番からウェッジまで統一されていると言うことで、加えてコックを極限まで減らして純粋なシングルプレーンのゴルフをします。
どーしてこうなった
彼は15才の時にコーチに「ザ・ゴルフィングマシーン(TGM)」を渡されて読みふけったと言われていますが、現在のデシャンボーのスイングを見ると、TGM的には「正確性は増すがパワーが不利になる」ことだけを思いっきり煮詰めてきたと言えます。全英のエキジビションで行われたドラコンで1位になったことからも分かるとおり、こいつのパワーはそもそも半端ではありません。おそらく生まれてから一度も「パワーが足りない」と思ったことがないのではないでしょうか。なので「正確性が上がれば楽勝」と考えているフシがあります。
考え方
今回のノーザントラストのダイジェスト動画ですが
www.youtube.com0'15秒くらいのところでパット打ちますけど、
左腕とクラブをほぼ一直線にして、そのユニットを真っ直ぐ動かすだけ、要はアンカリングと同じ考え方です。
これを全ショットでやります。
そのように考えていくと、コック、アンコック、あるいは手首のターン・ロール(第四章参照)が増えることは彼にとってはストロークを不安定にさせる要因でしかないと言うことです(バンカーはちょっとコックするけど)。でそれをショットでやろうとすると、こういうアドレスになるわけですが
左腕とクラブを常に同一プレーンに置くことによって(コックとターンを最小限にすることで)安定性が高まるのはいいとして、それが彼の体格的に最もラクに行えるのはどのくらいのライ角かを試行錯誤した結果、(現在の)73°くらいが理想となったと思われます。
ただクラブの長さが番手ごとに変わってしまってはそのライ角を維持できないので、そこから「じゃあ同じ長さのアイアンセットを作ればいーじゃん」と発想したと思われます。
ただこれは現在のゴルフの常識とはかけ離れたもので、基本的にはクラブは長くなるにつれてライ角も寝ていって、ヘッドの重量も軽くなるように作っているわけです。このデシャンボーの「全部同じように振れて(バランスも一緒で)ロフトだけ違うクラブつくって」という要求は、おそらくクラブの設計を全く異なる概念でイチから始めるくらいの労力が必要だったはずです。
またドライバーでも同じ長さにできないか実験をしたと思われますが、おそらくはドライバーのロフトでそこまでスティープなヘッド軌道になるとスピン量が増えすぎて使い物にならなかったのだと思われます。
なのでそうして作り上げられたクラブのスペックを持ち出して大手と契約するという所行を知ってしまうと、「義理に欠けた小僧だ」と思われてしまうわけですね。
TGMの専門的には
というところが特徴的であると言えると思います。
おれは怪力だがブキッチョだという人にはあり得る考え方ですが、上述の通りクラブのスペックが本人にマッチしているかどうかで結果が大きく左右されると思いますので(デシャンボーもプーマのアイアンに変えてしばらくは不調だったわけで)専門家(もそんなにいないと思うけど)の指導のもと行うようにしてください。