激戦となった今年のプロテストですが、最終合格者の顔ぶれを確認するとともに振り返りを行いたいと思います。
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2019年 女子プロテスト合格者
1位 イ ソルラ(29歳 韓国)
69 71 67 72 Total 279(-9)
今年から単年登録で日本ツアーに参戦し、賞金が11,308,500円(75位)ですので、残り二試合の獲得賞金次第ではファイナルQTに進める可能性もありましたが、念のため参戦して安定のトップ合格でした。
2位 山路 晶(21歳)
72 72 70 66 Total 280(-8)
やはり単年登録で参戦し、賞金が13,283,227円(70位)ですので、残り二試合の獲得賞金次第ではファイナルQTに進める可能性もありますが、三日間大叩きをせず最終日に延ばしたところに余裕を感じます。
3位 西村 優菜(19歳)
72 70 71 67 Total 280(-8)
プラチナ世代トップはこの選手でした。早くも来年の活躍に期待です。
4位 安田 祐香(19歳)
72 69 71 73 Total 283(-5)
下馬評通り、やはり日本代表メンバーは実力があります。
5位 劉 依一(19歳 中国)
69 70 70 74 Total 283(-5)
中国の若手です。リウ・イーイーが正しい発音のようです。詳しいプロフィールは不明ですが写真を見る限り体格にも恵まれているようです。一次予選からの通過です。
6位T 山下 美夢有(18歳)
71 72 71 70 Total 284(-4)
今年からのルール改正により高校三年生でも受験出来ることになりました。女子高生プロゴルファーです。
6位T 澁澤 莉絵留(18歳)
70 70 71 73 Total 284(-4)
彼女も同じく高校三年生です。一万円札に内定している澁澤栄一さんのご子孫のようです。関係ないですが。
8位T セキ ユウティン(21歳 中国)
69 76 69 71 Total 285(-3)
今年は単年登録でレギュラーでの賞金額は2,098,333円(122位)ですが、ステップでは6,280,710円(16位)、またステップ優勝がありましたのでファイナルQTからの参加が確定はしていました。
8位T 中西 絵里菜(21歳)
70 74 68 73 Total 285(-3)
98年生まれなので黄金世代ということになります。3度目の挑戦での合格となりました。
8位T プリンセス・スペラル(22歳 フィリピン)
68 73 70 74 Total 285(-3)
今年はステップを中心に参戦していましたが思うように賞金を加算できず、今後の参戦は今回のプロテストにかかっていました。
8位T 石川 怜奈(19歳)
73 65 71 76 Total 285(-3)
ある意味今回のダークホース的存在といいますか、何かと話題になった選手です。岡山作陽高校出身でしぶこの一学年後輩にあたります。この選手については後述します。
12位T 吉田 優利(19歳)
71 71 72 72 Total 286(-2)
プラチナ四天王の一人です。この環境の中で毎日スコアをまとめきったのは実力があるとしか言いようがありません。
12位T ハン スンジ(25歳 韓国)
73 71 69 73 Total 286(-2)
今年はステップに的を絞って賞金を積み上げていました(9,811,600円 6位)ので、既にファイナルQT参加資格を持っていました。
12位T 常 文恵(20歳)
71 69 71 75 Total 286(-2)
今年はレギュラーツアーで6,900,000円(92位)と微妙なゾーンでしたが、やはり経験を重ねて実力を付けた一年だったのだと思います。
15位T アン シネ(28歳 韓国)
70 68 77 72 Total 287(-1)
二日目を終わってトップに立ちましたが、三日目に77。そこから踏ん張っての合格はやはり実力があるということだと思います。
15位T 河野 杏奈(20歳)
73 72 69 73 Total 287(-1)
この選手は今回完全にノーマークでした。やはりこのあたりの世代は選手の層が厚いということでしょう。
17位 田中 瑞希(21歳)
75 71 71 71 Total 288(Even)
なにがすごいって日曜日までレギュラーツアー(三菱電機レディス:埼玉)の最終日プレーして岡山飛んで火曜日からプロテスト受けたことですね。賞金は10,502,000円(79位)まで来てますので残りの試合次第ではファイナルQTからもあり得ましたが、出られる試合は全部出るという姿勢が良い方に出たのでしょうね。
18位T 西郷 真央(18歳)
71 73 74 71 Total 289(+1)
「せごどん」こと、今年の日本女子アマ覇者の高校三年生です。まぁ今年のメンバーの中で競り勝つのですからギリギリの順位とはいえ合格は順当と言って良いでしょう。
18位T 笹生 優花(18歳 フィリピン)
74 72 70 73 Total 289(+1)
プロフィールではフィリピン国籍のようですが、日本の代々木高校に通い、ユウカ・サソウという登録名でレギュラーにもたびたび出場している実力者です。米大学進学、また米ツアーのQTを受験した(が敗退)という説もありますが、来年からは日本ツアーでということでしょうか。すさまじい飛距離を誇ります。
18位T 宮田 成華(22歳)
72 71 72 74 Total 289(+1)
四度目の挑戦での合格です。2017年から単年登録して参戦していますが毎年あと一歩の賞金額でした。今回のプロテスト合格で一回りも二回りも大きく成長して欲しいものです。個人的には今回一番嬉しいです。
18位T 石井 理緒(19歳)
70 70 71 78 Total 289(+1)
毎年地元のヨネックスオープン(新潟)で活躍する選手です。今年も現地で見ましたがお母さんにそっくりです。
以上18位タイまでの21人が今年の合格者となりました。もう30人くらい20位タイで受かればいいのにと思ってましたが21人どまりでした。21人のうち外国籍の選手は7名でした。制度変更により外国人の受験者が増えていることと、すでに他国のツアーでプロとして充分に経験を積んだ選手が集結しましたのでまぁ妥当な数字ではないかと思います。
合格ライン+2打でQTは受験出来る選手
今年の救済措置で、合格ライン+2打までの以下選手はファーストQTに参加出来ます。しかしどうも規約を読みますと、ファイナルQTで順位が付かないと来年のステップ、レギュラーの参加資格はもらえないようです。頑張って欲しいものです。
後藤未有
石田可南子
政田夢乃
フォン・スーミン
リ ハナ
今回プロテストの振り返り
今回残念ながらプロテストを合格出来ず、来期の出場機会を失ってしまった選手もいます。本当に私も残念に思う選手がいっぱいいるのですけど、ここでは一人一人について考察することはしません。また来年元気な姿で受験してくれることをお祈りしたいと思います。今回の制度変更についてはこれまでの記事で私などが紹介してきた内容以上に未だに物議を醸している状況ではありますが、私なりに二点振り返りを行いたいと思います。
コースの環境について
昨年のプロテスト二次の結果を見ても裏付けとなると思うのですが、この会場ではビッグスコア連発のぷっちぎりというのはかなり難しかったと思います。合格した選手もほんのどこかで大叩きをしてしまえば合格出来なかったレベルのスコアでした。
そうなってしまう要因の一つに、日本では珍しいリンクス環境のコースであった事が考えられます。海外のリンクスコースなどでもそうなのですが、だいたい海風というのは朝方は穏やかで午後に向けて強くなることが多いです。スタートが遅い組ではグリーンが荒れるのはもちろんのこと、ショットへの強風と乾いて早くなるグリーンなどでスコアを大きく落とす事がある一方、中位につけて早い時間にスタートした選手にビッグスコアが出るということもあります。
今回で言えば三日目に最終組だったアン・シネ選手と幡野夏生選手が共にスコアを大きく落としてしまうのですが、プレッシャー以外にも上記のような影響もあったのではないかと想像されます。このような展開ではとにかく「大きくスコアを落とす日を作らない」逆に言えば、「ビッグスコアを出さずにパープレイ付近で毎日耐える」ゴルフが出来る選手が最終的に上位に来ています。そういう意味では三日間耐えに耐えて最終日に66を出した山路選手のような戦い方がベストだったのではないかと思います。
ただそれで最終日に叩いてしまってはアウトなので、行けるところは行きたくなるのは人情なのですが、そこを冷静に、大局的な視点でマネジメントを行えた選手が有利だったように思います。
年間を通しての戦略
またプロテストに臨むまでのルートについても、今年はいろんな考え方があったと思います。ぶっちゃけアマチュア選手は落ちたらアマ資格をキープして来年受けるということも出来るのですが、単年登録選手は今年のプロテストに不合格だと来年出られる試合がなくなってしまう事は最初からわかっていました。
実は今回単年登録で合格した選手のうち、半数以上の選手はレギュラー賞金の積み上げやステップの優勝などで「今回落ちても今年のQTには出られそう」な状況にあります。この精神状態と、「落ちたら終わり」の状況ではやはり相当に精神状態が異なると思うのです。
これがまた難しいところなのですが、今年度のQT順位が下の方だった選手はステップに専念してステップ賞金10位以内などの資格で来期に向けてのファイナルQTを目指す事が出来ました。しかしなまじ昨年QTで上位に来てしまった選手は、最も理想的なレギュラーツアー優勝、レギュラーツアーシード権獲得を目標にしなければならず、ステップアップツアーを上手に使う事が出来ませんでした。例外はレギュラーツアー中心に参戦し、最後に一回だけ出たステップで優勝した小貫麗選手などがいますが、どのようなルートが最も来期以降の出場権の確保の確率が高いのかを考えて出場試合を選考する必要があったことになります。
まぁ、でも、とにかく本当にお疲れ様でした!
おまけ:「れなごん」がやってくる!
私が個人的にこの選手ヤバいと思っているのが、今回8位で合格した石川 怜奈選手です。この選手は来年来るのではないかと密かに期待しています。
以下は主に日刊スポーツの記事を元に構成した紹介コンテンツです。