第二十章 ゴルフにおける「曲がる」ショット スライスとフックの実用的メカニクス(3)

ボールが飛び出す方向

ボールが打ち出される方向を決定する要因のうち、クラブフェースが向いている方向と、クラブヘッドが振られる方向では、どちらがより大きな影響を与えるのだろうか。

ボールがクラブフェースから離れるとき、この二つの方向のあいだのどこかの方向に打ち出されるが、通常はクラブヘッドがスウィングされる方向よりも、クラブフェースが向いている方向に近くなることがわかっている。

20:6のイラストの状況では、クラブフェースの向いている方向とクラブヘッドがスイングされている方向の開きは約20°であるが、このような状況のフルショットでは、平均してクラブフェースに垂直な方向より約7°右に打ち出される。(実際にはクラブにはロフトがあるが、もしクラブフェースが完全な平面であれば、打ち出し方向はクラブフェースに対して垂直な方向となる。パターでこのようなスイングをした場合、打ち出し角のズレは45°程度になる。)

20:6 ボールの打ち出し方向(点線)。クラブヘッドのスイング方向よりも、インパクト時のクラブフェースの向きにより大きな影響を受ける。上図の場合では、ボールは左に曲がっていくカーブを描くフックのスピンが与えられる。

ボールの飛び方からエラーを診断する

クラブフェース野向と、スイングラインのほんのわずかなズレによって、相当量のサイドスピンをボールに与えてしまうことがある。もしこのズレがわずか1°の場合、インパクトで発生するサイドスピンの量は毎分数百回転になり、これは200ヤードのティーショットにおいて設定したラインから78ヤード逸脱するのに充分な回転量である。

従い、フェアウェイの幅が40ヤードで、インパクト時のクラブフェースがフェアウェイ中央を向いているとした場合、スイングのラインがどちらかに3°ズレているだけで、ボールはラフに行ってしまうことが確定するということである。同様に、クラブヘッドが完全にフェアウェイセンターの方向にスイングされたとしても、クラブフェースの向きがどちらかの方向に3°ズレていた場合でも、全く同じ結果が当てはまる。

このことがプッシュやプルよりもどれほど危険であるかは、次の比較を行うことで説明できる。意図したラインから3°外れた方向に、スクエアなショットを放った場合、200ヤード先での誤差はわずかに10ヤードであり、これはほとんどのドライバーショットにおいて許容可能な誤差といえる。

通常、プレイヤーはボールの飛行を観察することによって、こうしたカーブするショットの原因について判断をすることができる。

スイングがターゲットに対してオフラインになっているのみであれば、ボールはフェアウェイ中央の方向からわずかに逸れた方向に打ち出され、反対側のサイドに向かってカーブしてくる。

スイングが真っ直ぐで、クラブフェースの向きが狂っている場合は、ボールの打ち出し方向が同様にフェアウェイ中央方向から逸脱するが、そこからさらに同じ方向にカーブをしていく。

ほとんどの場合、スイングの方向とクラブフェースの向きは双方主タ0ゲットの方向ではないことが多い。このような状況下では、深いラフに向かって打ち出されフェアウェイ中央に着弾するバナナショットから、右に出てさらにオフラインの方向に高くスライスしていくボールまでほぼどのような結果にでもなる可能性がある。

また非常に気の滅入る現象だが、こうしたショットを打ち続けているプレイヤーが、ボールをフェアウェイの左側に持ち出そうとすればするほどボールはよりひどく右に曲がっていくものなのである。

しかし、原理がわかっていればこの現象を説明することは簡単である。最初のスライスは、このプレイヤーがスイングした方向よりもクラブフェースが右方向を向いていたことによって発生していたので、スイングの方向をさらに左に傾けることでボールを左に打ちだそうとすれば、クラブフェースの向いている方向とスイングの方向の乖離が破滅的なまでに拡がったのである。

このようなときは、プレイヤーが自分自身で問題を解決しようとするよりも、遥かに的確に何が起きているのかを見極められるクラブのティーチングプロにお世話になるべきタイミングなのだ。それができなければ、誰か友達に見てもらうことで、フェースの向いている方向を横切ってスイングしているかどうかだけでも判断してもらうのがいいだろう。

ハイハンディキャップゴルファーの一般的な観察によれば、意図せぬフック、もしくはスライスを誘発する二つのエラーのうち、クラブヘッドを目標に対してオフラインでスイングしてしまう症状は根深い習慣的なものになる場合が多く、クラブフェースのミスアライメントは不規則に発生することが多いようだ。

従い慢性的なスライサーは習慣的にアウトサイドインのスイングを行っているいっぽう、どちらにも曲がるプレイヤーというのはスイング方向の変化よりもクラブフェースのアライメントを制御することができないことに苦しんでいる可能性が高い。

もちろん、これら二つのエラーは、機械的、精神的双方の影響を受けている。習慣的なスライスヒッターが、左に狙いを定めてスライスボールで中央に戻ってくるボールに満足している場合、そのプレイヤーがかなり安定したスイングとクラブフェースコントロールを確立することはおうらくそれほど困難ではない。しかしもしそのスライスに満足できない場合、それを「治す」ためにグリップやハンドアクションを変化させ得る実権を行うかも知れない。これらはスイング方向そのものを返るよりは簡単に実行でき、様々な結果が得られるものではある。試行錯誤の末に、ついに目標である「ストレートショット」に行き着くかもしれない。しかしこのようにした結果、そもそも持っていたスイングの一貫性の感覚を完全に喪失し、さらにクラブフェースのアライメント管理も非常に不安定なものになってしまう可能性がある。

この種のスライスは、インパクトまでにクラブフェースをスクエアに戻すことができていないのが原因なのであり、細いグリップ、軽いヘッド、あるいはよりしなりの大きいシャフトのクラブを使用することで軽減できる場合があるが、これらは全て方法こそ違うものの、インパクトにおけるクラブヘッドのターンの割合を増やす効果を期待できるものだ。

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事