森美穂選手がステップで三戦連続決勝ラウンドに進んだり、ルーク・ドナルド師匠がシュライナーズで予選通過したり、デブが380yワンオンしまくったりといろいろありますがアーネスト・ジョーンズの続きです。
前回の記事はこちらです。
ジェイムス・ブライド(1870-1950 スコットランド出身。全英オープンを5回優勝)
「一般論として、アイアンショット、特にショートアイアンの場合、ストロークが早くなりがちで、特にそれは切り返しの早さとなって現れることが多い。」
この議論についての詳細な説明は本書の最初の方の章で触れているが、両手首の柔軟性が、クラブヘッドの方向転換の際にその動作がスムースに行われること、またストロークが「スイング」であるための品質を保持していることに、ストロークの始動からボールを打ち抜くまで終始貢献しているということである。本来「スイング」されている物体はその速度をゆっくりと増加させていくのであり、急激な速度変化を行うことは出来ないので、スイングを「急ぐ」ことは出来ないはずである。ブレイドによって批判されているアクションは、スイングとは異質のアクションである。
これはこの記事も参考にしていただくとわかりやすいかと。
ジョージ・ダンカン(1883-1964 スコットランド出身 トーナメント22勝、1920全英オープン優勝。「プロの中のプロ」と呼ばれる)
「スライスというトラブルはいつでもほぼ決まって、一つの原因に収斂する。それはピボットの欠如だ」
フルショットに近いストロークを行う場合はいつでも、両手がクラブヘッドを前後にスイングすることを助けるために、ボディは自然にターンをする事が必要となる。ストロークがスイングとして始動される限り、このボディのターンはあくまでも両手のアクションに反応して発生するものである。もしストロークがレバレッジの活用によって始動された場合、いくつかの筋肉群がそのほかの筋肉群に対抗するカウンターアクションが発生するため、結果としてボディに本来あるべき形でのターンが発生しないという不具合が起きる。もしプレイヤーが「スイング」を充分に確認して行った場合、ボディをターンさせるための何かについて考える必要はなくなり、そうした細かいアクションは自然に完結する。
グラントランド・ライス(1880-1954 米国のスポーツジャーナリスト)
「ロックされた、こわばった、あるいは地面に突き刺さっているようなボディの体勢こそが、両手と両腕がクラブヘッドをスイングすることから妨げている最大のダメージ要因である。」
前述のボディの状態は、ほとんどの場合スイングを始動する際のテンションの状態の問題であり、それらの原因は、間違った方法でクラブを持っていることか、クラブヘッドをスイングする代わりに可能な限りのパワーでボールをヒットしよう、もしくはストロークの始動でスイングと相反するフォースを用いようとするなどの、間違ったコンセプトである。「スイング」は常に、無理のない、リラックスしたメンタルおよびフィジカルの状態を伴って始動されなければならない。前述のような問題のある状態というものは、終始スイングを行っている限り発生することはない。
サー・アーネスト・ホルダーネス(1890-1968 イギリス人アマチュアゴルファーで、全英アマを二回優勝)
「多くのゴルファーが犯しやすい間違いは、クラブヘッドのダウンスイングを始める際に右ヒザをこわばらせた状態にして、そのままストロークを進行させてしまうことだが、正しい方法はクラブヘッドの動きに合わせてありのままの状態にしておくことだ。」
バックスイング時に右方向にクラブをはらうように動かすために、ボディを右方向に無理なくターンさせることが出来るよう左サイドをリラックスさせておく必要があるのと同様に、もしプレイヤーが「スイング」を忠実に行うのであれば、右脚および右サイドは前方方向へクラブを払う動作を容易にするために、ダウンスイング時にリラックスさせておくことが必要である。ストロークの始動時に、右手でクラブを引き込むようにしてレバレッジの原理を導入する事がなければ、ボールへ向けてダウンスイングを行う際に右膝が真っ直ぐになって右脚が硬直してしまうというトラブルを経験することはないはずである。
ミス・ジョイス・ウェザード(1901-1997 全英女子アマ、全英女子選手権などを9勝)
「ぎくしゃくとした、制御不可能な動きを伴ってクラブヘッドの位置の感覚を失ってしまったなら、まっとうなスイングに帰結することはありえない。」
ここで使用されている「スイング」という言葉は、「ストローク」の意味と同義か、単にクラブの動きのことを指していると思われる。真の「スイング」のアクションではそもそも「ぎくしゃくした」状態にはなり得ないし、またウェザード女史が指摘しているように、クラブヘッドがどの位置にあるか、またそれがどのような状態であるかの感覚は「スイング」のあいだ中存在し続けるからである。
ジェローム・D・トラバース(1887-1951 1900年代初頭に活躍したアメリカ人ゴルファー。全米アマ4勝、1915年全米オープン優勝)
「とにかく、ボディが両腕を押し出すのではなく、両腕がボディを引っ張るようにすることだ。前者はタイミングにおいて最悪の事態をもたらす。」
もしクラブヘッドが「スイング」で動かされているならば、クラブヘッドは常に外側に引っ張られていることになる。ここで言っている「ボディが両腕を押し出そうとする動き」とは、プレイヤーが間違った方法でパワーを活用しようとしていること以外の何物でもなく、あたかも糸の先に付いているおもりを加速させることを、手とおもりの中間にあるどこかを「押す」ことによって達成しようとしているようなものである。こうした間違った方法は即座に結果となって現れる。
ホレイス・ハッチンソン(1859-1932 全英選手権2勝の英国人ゴルファー)
「トップオブザスイングからダウンスイングを始める際、右肩をゆったりと下方に落とすこと、これこそがボールが打撃されるべくして打撃するための最初にして最も偉大な秘訣である。」
真のスイングの摂理が動作において守られている限り、左腕はボールを打撃するまでスイングを先導するガイドで有り続ける。この条件が達成されていれば、右腕は自然と左腕に比べて副次的存在となり、トップからインパクトまで両手が動く弧の2/3ほどに貢献する程度の動きとなる。もしダウンスイングの初期において、右腕がレバレッジの作用をもたらすことを許してしまった場合、ハッチンソンが言っている右肩のアクションを達成することは不可能である。
次回いよいよ感動の(?)最終回です。