全英オープン初日デシャンボーはオープニングショットをOBしてそのまま流れをつかめずに6オーバーになっちゃってまぁ予選通過はできなかったけども、そもそもこういう気候の変化が激しいコンディションってあんまり得意じゃなさそうなんだよねー
松山君ですら最終日1番でOBなっちゃったからやっぱトリッキーなコースなんだろうねー
さてTGMを読むコツの続きだよー
Table of Contents
TGMの意義
前の記事ではTGMの困ったところというか、いろいろ不評を買ってる原因について考えてみたけどねー、ここではTGMの良さというか意義について考えてみるよー
用語の定義
よく掲示板とかで「ボディーターンかリストターンか」みたいな議論があるけど、そもそも何が「ボディターン」なのかの定義が曖昧だから、あまり建設的議論になってないなぁと思うんだけど(まぁそういう議論を楽しむという考え方もあるのだろうけど)、TGMではかなり緻密に用語の定義をしてるので、その定義を分かってる同士であればかなり建設的な議論が出来ると思うんだよねー
もちろん全ての用語の定義がTGM発祥なわけではないだろうし、収録されてる全ての定義が現在まで共通認識として使われてるってわけでもないだろうけど、英語圏でのこの「言語の統一」のこころみはかなり大きなレガシーになってると思うよー
解析方法の確立
同じようなことかもしれないけどねー、コンポーネントを明確に定義したことで、様々なストロークの解析方法が発明されたと思うんだよねー
例えば今では当たり前だけど、ストロークを後ろから見たときにプレーンの線を引いてクラブの入り方を解析するってのもTGMの信者が始めたことだし、ボールの飛び方についてもDプレーンとかあるけど、TGMの説明が一番説得力あると思うし、物理・幾何学的な側面からゴルフを考えるということを始めたのは大きな功績だと思うよー
理論はねー、時代の変化によってかわると思うんだけど、それぞれの理論をTGMを使って解析することで比較できるようになるわけだしねー
代表的な「理論」としては、「モダンゴルフ」があって、レッドベターのボディターンがあって(原著の「The Golf Swing」には「ボディターン」という単語は出てこないという説があるけど...) 、スタックアンドチルトがあって最近ではAスイングとかあるけど、全部TGMのどのコンポーネントに使っているのかっていう解析が可能だろうし、それによってプレイヤーがどのコンポーネントを選択するのかっていう論理的なよりどころが出来たと思うんだよねー
そこから論理的に「ひたすら確率と再現性を重視して、精神的な影響を受けにくいストロークのためのコンポーネント選択」を追求した結果出てきたのがデシャンボーみたいな奴だと思うしねー
ゴルフを考える上での論点の確立
まぁこのへんのことって、突如キングダム的に、歴史的に考えていくと、ようするにバラバラだった尺度がある程度共通のモノサシを持つことによって経済や人材の流通が盛んになるっていうのと同じことだと思うんだよね
秦が中華を統一したことで、通貨や、測量単位、幹線道路の幅とか、多分言語とかも含めていろんな法整備が進んだことで、統一国家としての概念化が進んだというか、「オレはボディターン」「アタシはリストターン」みたいな定義のはっきりしない小競り合いが減って、もっと本質的な議論が起きたことから「ゴルフにおける基本とは何か」みたいなものが少しづつ形になってきたと思うんだよね
(C)集英社「キングダム」
炎上商法
ただその議論を促すという功績について考えると、TGMは多分に炎上商法というか、一義的な解釈が難しくなってるのも実はワザとなんじゃないかって思うんだよねー
つまりTGMが「聖書」だとすると、この本の解釈するためにはたくさんの預言者や神父・牧師的な人が必要で(ベン・ドイルさんはその第一号なわけだけど)その人たちがそれぞれの解釈を戦わせることでその時代にあった理論が生み出されていくと言うことまで考えて、あえて分かりづらくしてるんではないかと
TGMを読むコツ
1. この本は「攻略本ではない」ことを意識する
たぶんTGMの理想はねー、ゴルファーが誰でもある程度のレベルに達したら、「オレのゴルフはこうだ」っていう本が書けるようになるってことではないかと
その時点でそのゴルファーは自分なりのしっくりくるスイングを見つけているわけで、当然どのコンポーネントを選択しているかの自覚もあるだろうけども、きっとそれは他人のものとは完全に同じにはならないよね
この「オレのゴルフはこうだ」とか、「こうすればヘタクソも少しはうまくなるはずだ」は攻略本だけど、TGMはみんながそれを作れるようになるためのネタ本だから、「この本を読めば上手くなる」こととは直接的にはつながらないことを覚えておかないといけないよなーと
2.この本はヒント集である
でも「TGMを読んでも上手くならない」ってことでもないんだよね
自分のしっくり来るストロークを見つけるためのお題は満載なわけで、当然それはかなりの試行錯誤を要求されるわけだけど、多分必要な試行錯誤の種類は全部リストアップされているんだと思うよー
3. 重要な単語、概念は尺度として持っておく
ゴルフのレッスン本や実際のレッスンではいろんな言語表現があると思うけど、TGMで使われてる言語や定義を使って、そのレッスン表現を定義することが出来るようになるはずだよー
例えば「シャットに上げましょう」と言っているレッスンプロがいるとして、その人が実際に打っているところを注意深く見れば「アングルドヒンジングだけどヒップターンとピッチエルボーを使ってパワーを出しているスインガー」という事が分かるかもしれないということだよー
「緩んでる」って言われたらエクステンサーアクションが不十分だったんだなーとかね
4. 単語、文章一つ一つに入り込まず、全体的に捉えようと努力する
とは言えねー、細部にこだわって入り込みすぎると全体が見えなくなるからねー、あくまで他のページに書いてあることや、近隣のコンポーネントとの関連性をよく見極めながら読むことだよー
単純に言うとねー、「ふーん」って感じで何度も読む感じなると思うよー
5. いろんなことに一度に挑戦しない
例えばねー、「フラットレフトリストを意識しつつエクセンテンサーアクションでパワーパッケージの剛性を確保しながら柔軟性を保ちつつトップまで持って行き、ダウンではエイミングポイントとエクステンサーアクションとフライングウェッジを意識して両腕とクラブがまっすぐになるまでしっかりとラグを保持して下に、外に、両手が一定の加速度になるようにPP#3にプレッシャーを感じながら左腕のロープハンドルテクニックで振り切っていく」みたいになると(おいらだけど)
全ストロークイップスになるからね(実話)
このブログ書いてて本当スコア悪くなってるけど、最近は「とにかく悪玉ラグを発生させないこと」だけに集中して練習するようにしたら少しずつ良くなってきたからね
6. 断言しているところに注意する
全ての人が「正しい自分のストローク」を見つけられるようにという多様性と進化を願っているのがTGMの本質であるとしても、いくつか「これだけはやっておけ」と断言してることもあるからねー
そういう部分ってほとんどは単純な事ではないというか、知っているから出来るって事ではないのが問題なんだけど
例えば基本中の基本みたいな書き方してる「フラットレフトリスト」が出来ていると言うことは、間違いなくボールはまっすぐ飛んで、ハンドファーストでダウンブローでナチュラルドローが打てるってことだから、実はその辺の練習場にいる99%(100%って言いたいけど)の人が出来てないことなんだよね
なので一筋縄じゃいかないんだけど、だとしても「それが基本なんだろうなー」と思って練習することがたぶん大事なんだと思うよー
7. TGMを読んでいることはひた隠す
ゴルフって不思議なスポーツで全然上手くない人でも他人に口出ししたがるものなんだけど、違和感を感じたとしても、TGMを論拠に反論したりしないことだよー
例えば結構有名なコーチでも「インパクトで両手を止めてみてください」みたいなことを言う人がいるんだけど、「そんなものSustain The LAG出来ねーだろ」って思っちゃうとしても、ぐっとこらえて言われたとおりに試してみる(か、「ああ、そうなんですねー」とか言ってスルーする)ことだよー
TGMを読んでない人とTGMをベースに共通の理解を得ようとするのはほぼ不可能だから、むしろ「なぜ自分がそう言われるのか」をTGM的に自己分析するぐらいにして、絶対に相手を論破しようとか思わないことだよー
いつの日か教える側も教わる側もある程度TGMの言語やコンセプトについて勉強していて、共通言語のもとでレッスンが出来るようになったらものすごく効率いいと思うけど、アメリカ本国でもそうはなってないわけだからそんなの寝てみる夢でしかないよー
でもTGMを読んでいる上級者が増えていけば、もっと適切なレッスン表現が増えるかもしれないし、4スタンス理論みたいな怪しげな分類じゃない方法でストロークを診断出来るようになっていくだろうし、弾道解析とかの技術も上がっていくだろうから少しずつゴルフも科学的になっていくと思うよー
このブログ以外にも「ゴルフと科学」っていう切り口で、いろんな試行錯誤をするブログって増えてきているし、きっとおいらがこのブログ書き始めたのもその辺の機運があってのことだからたぶん偶然じゃないと思うんだよねー
「ゴルフは科学」が常識になったときTGMも見直されると思うけど、それまでは黙々とひっそりと個人研究だねー
全英オープンも終わったことだし、次回からはめんどくせー第一章から第三章に取り組んでいくよー