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スタンスの取り方

円滑な「スイング」を達成するために、クラブに対してどのように両手をポジショニングするかが非常に重要であるのと同様、「スイング」のアクションに対して鋭敏に身体の各所が反応を行うためには、ボールに対してどのようにスタンスするのかが非常に重要である。具体的には双方の足が互いにどのような関係性を持って配置されているかと、それら両足に対してのボールの位置関係は、ストローク全体を通じて行われるアクションの基盤となるものである。従い、その特徴は、動作の摂理を決定づけるものに他ならない。

グリップの場合と同様、数多の成功しているプレイヤーの観測からわかることは、両足の置き方およびスタンスの取り方には、かなりの広がりで相違が見られるということである。常識的には、スタンスについては三つの一般的なスタイル、すなわち、オープンスクエアクローズドが存在する。これら三つの用語は、ボールに対しての両足の配置と、意図する飛球方向のバリエーションによって分類されている。

圧倒的にオーソドックスであるのはスクエアスタンスである。両足の爪先を結んだラインが、意図する飛球方向のラインと平行になっているものである。オープンスタンスではこの状態よりも左足が飛球方向のラインから離れる形となり、クローズドスタンスでは左脚がこのラインに近づいた状態となる。

正面およびサイドから見たスクエアスタンスの写真。ボールに対しての正しいプレイヤーの両足の位置は、クラブの長さ、前傾角度およびボディから伸びている両腕の位置によって決定されている。

クローズドスタンス(右)およびオープンスタンス(左)の写真。クローズドでは意図する飛球方向のラインに対して右足が近づいており、オープンスタンスではその逆となる。双方のケースについてのテキストをよく参照すること。

ある程度の技術を有するゴルファーは、この三つの内のどれかを採用している。三十年かそこら前のイングランドではクローズドスタンスのプレイヤーが多かった。しかしJ.H.テイラーという選手が極めて明かなオープンスタンスを採用していくつかの選手権に優勝すると、オープンスタンスの採用がまたたく間に流行した。その後、有名選手のほとんどは実質的にスクエアと言って良いスタンスを採用するようになった。ここ2〜3年、何人かの有名選手がクローズドスタンスには特徴的な優位性があると公言している。

この事実からわかることは、単純に良いゴルフというものは上記三つのどの方法を用いても可能であるということと、よほど特殊な状況を除いては、最も自分にとってシンプルであると思われるものを採用すべきであると言うことであるが、それはその本人にとってその優位性を強く確認できる、あるいは推奨出来るものでなければ、恒久的にそのプレイヤーのゲームを向上させていくことが困難になるからである。逆に言えば三つ全てのスタイルにおいて良いゴルフも悪いゴルフも存在するのである。

私の感覚からすると、スクエアの方法が最もロジカルかつ効率的であると思うし、私自身が採用し、かつ推奨しているものでもある。その理由は、スクエアメソッドが最も真のバランスというものを獲得しやすいと思うし、ボディーのターンを双方向に、すなわちバックスイングで右へ、ダウンスイングで左へという具合に容易かつ迅速に行うことが出来るからである。クローズドスタンスではバックスイングではボディをより容易にターンさせることが出来るが、ダウンスイングでのターンに抵抗を増やすことになる。当然のことながらオープンスタンスではその反対の現象が発生する。スクエアスタンスに違和感を感じているプレイヤーが他の方法を試した場合にパフォーマンスが向上するということは良くあることだが、それでも自身のスイングへの調整を試行錯誤して行っていく必要がある。

私個人としては、まずはスクエアポジションにて一通りの動作が出来ており、様々な事柄を調整出来る能力を備えているのであれば、何らかの他の事柄に重要性を感じる場合にスタンスの方法を変えてみることはあってよいことだと考えている。原則論として、スタンスは容易さと違和感のなさを提供しているべきものである。その主目的は、ボディが可能な限り緊張感や抵抗感を感じることなく、スイングのアクションを容易に行えるようにするということである。スイングの動作を始めるためにボールに対して立ったとき、そこには心地よくバランスを獲得出来ているという感覚が必要である。つまりプレーヤーは前後、左右に対してしっかりとバランスを保つことができるという感覚が必要である。もっとも初期的な段階では、プレイヤーはリラックスして立って、両腕はだらんとぶら下げられているような状態になる。次にボールの後ろにクラブヘッドをプレースするときには、プレイヤーはウェストのあたりから上体をわずかに前傾させる事が必要になるが、正しいバランス状態ではこの時に爪先側に体重がかかるということは発生し得ない。両脚の膝はほぼ曲がっていない、つまり両脚はほとんど真っ直ぐだが、膝関節はゆったりとリラックスしている。両膝関節がこわばる、あるいは緊張しているということがあってはならない。

重量挙げや綱引きのように、両足を地面にめり込ませるようないかなる努力もしてはならない。このようなことをすると両脚に緊張感が生まれ、それが身体の他の場所に伝達してしまい、これは明かにスイングのアクションを始動するのに最適なゆったりとした自由度を確保することの妨げとなるのである。達成したいのはシンプルな身体的エクササイズに調和した、いつでも動き出せるような自由度であり、例えるならばダンスフロアで自分のダンスのため曲が演奏され始めるのを待っている瞬間のダンサーの静止状態のような感覚である。

両足の間の距離、つまりスタンスの広さについての客観的な指標があるわけではないが、おおよそそれはプレイヤーの肩幅くらいが適当であると思われる。広すぎるスタンスはボディのアクションの妨げになるであろうし、狭すぎるスタンスは動作を窮屈なものにしたり、バランスを崩すことにつながりやすい。通常つま先はそれぞれおよそ45°開いていることが望ましい。さる高名なプレイヤーが、スタンスにおいてつま先をやや内側に向けているのを見たことがあるかも知れない。おそらくこれは何らかの目的に沿ったものであるのだろうが、正直なところそれが何であるのか私にはわからない。スタンス位置からボールへの距離について言えば、明かにこれはストロークを行うために選択したクラブの長さがその決定要因となる。しかしいかなる場合でも覚えておかねばならないことは、両足のポジションはまずクラブヘッドをボールの後方にソールし、その後に両足のポジションを調整しなければならないということであり、決して両足の位置を決めた後にスイングをその位置で行えるように調整するという手順を踏んではならない。

先に言及したウエストからの上体のわずかな前傾については、ストロークを始動する体勢をプレイヤーが取ることを容易にするために必要なことである。発生しやすい間違いとしては、前傾角度が深すぎることである。ボディはできる限り直立に近い方が好ましく、またひとたびこの体勢が整えられたならば、スイングの始まりから終わりまでこの角度は維持されるべきものである。前傾角を浅くして立ち、スイングの進行とともに深くするというような手法は困難であるだけでなく、ストロークの効率性をだいなしにする。

スムースにタイミングの取れたストロークを行うためのキーポイントは、リラックスおよび緊張からの解放の感覚である。両手、両腕、両脚のどのような部位にでも緊張感が発生していることは、スイングのアクションをその始動時点から完全に困難なものにする。このことに関連するのがワッグルを含む、クラブヘッドをボールの前後に動かしてみる予備動作についてである。現実問題としてこれらの動作は有効なものである。これらはボディのリラックス状態を促し、またクラブヘッドの感覚を得るのに役立つ。しかし過剰なワッグルは、いつしか習慣化し、スムースな始動をいつまでたっても迎えられなくなるまでになることがある。このような場合、こうした動作は有効であるというよりも弊害であるとしか言えないのだ。

添付されている写真やイラストは、読者諸君がポジションを獲得するための正しい方法についての理解を深めるのに役立つものと思われる。よってこれらを注意深く確認されることをお勧めする。

 

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