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第十一章 右手 - 適切なタイミングにおける手首のロール

第十一章 右手 適切なタイミングにおける手首のロール

プレイヤーのショットの個性は、ショットにおけるいくつかの動作がどのように複合して効果を発揮するかのバリエーションによって大きく影響を受ける。すなわち左腕のフリーヒンジのスイングに対して右腕がどのように押し込みを付加しているか、あるいは、これまでに議論した、クラブヘッドがインパクトを迎える付近で発生する、左手首のアンコッキングに伴う約90°のクラブフェースのロールバックをどのように加速しているかといった要素群である。

例えばいくつかの理論では、プレイヤーが前腕の回旋を全く伴わずにゴルフをプレイすることは不可能であると主張している。この主張は、意識的に主導されたロールが発生することはないという条件を伴うのであれば正しいと言える。すなわち、バックスイングもしくはダウンスイングの初期に発生する左手首の基本的な内旋(プロネーション)に対応する形で、インパクトに向けては自然な外旋(スピネーション)が発生しているが、これはクラブヘッドをプレーン内でスイングしようとした場合の、人体の構造上の自然な結果と言える。

この際のロールの発生量(角度)について、意識的、あるいは無意識的にどの程度発生させることが出来るのかについては第十六章で触れることにする。しかし現時点で明白なことは、高レベルのゴルフのプレイにおいて、左前腕の旋回を全く発生させずに行うことは実質的に不可能であると言うことである。トップクラスのゴルファーは、それぞれのスイングにおいて、程度の差こそあれこの左前腕の旋回のメカニズムを自動的に発生する要素として取り込んでいるのである。

例えば写真11:1のようなフォロースルーを行おうとするあらゆるアイデアは、自然なモデルタイプのスイングに対して多大な複雑性を付加することなく行うことが困難なのであり、その開始時点から壁にぶつかることになる。これを行おうとすることは、いくつかの関節、とりわけ背骨周辺の関節に多大な負荷をかけるだけではなく、打撃の再現性を獲得するために多大な努力を払わなければならなくなる。この方法でボールに対して自然なスイングを行うには明かに何らかの補正が必要になり、従いフォワードスイング全体がより複雑なものになるにも関わらずコントロール性が失われる事態が発生する。

11:1 このようなフォロースルーのフェースの状態は、フルショットの場合においてはほぼ不可能である。このようにスクエアを保ったままフォローを行うには、インパクトからその直後の手首の関節および前腕の動かし方を急激に変化させる必要がある。インパクトまでに手首のアンコックを行い、また前腕はロールさせておく必要があり(それらは右手のアシストなくては行えない)、それらの動作をシンプルな2レバーのヒンジングのアクションと同時に行う事が必要になる。この動作は非常に急激かつ広範なものになるため、実際にこのアクションが発生するのがインパクトに間に合わない可能性がある。

まぁデシャンボーはまさに最初からコックゼロでこれ出来るんですけど。。。

もっとも写真に表示されている例は極端な例であり、これほどまでではないバリエーションがバランスの取れたスイングになることはあり得る。この可能性についても第十六章で議論することとする。

 

インパクト付近における手首のはたらき:モデルから得られる原則

またここでもう一つ注意しておかなければならないことは、通常のフルショットにおけるインパクトの最中もしくはその直後でさえも、右手首、および左手首がターゲット方向に向けてヒンジされることはいささかもあってはならないということである(ここでいう「ヒンジ」という言葉については第五章で注意深く定義されているので確認されたい)。

モデルのスイングにおいて、下方のレバーが上方のレバーを追い越すのは、インパクトの後のフォロースルー中におけるものであり、あくまでも両手が正しいコンビネーションのもと、すなわち左前腕のローテーションと左手首のリコッキングと、それに続く右手首のリコッキングという動作を行う際に自然に発生するものでなければならない。

この動作がモデルタイプのスイングにおいて最もシンプルな方法で再現される場合、フォロースルーの早い段階で左肘を曲げる必要はなくなる。ここで右手が左手を追い越すように交差することで、右手首の自然なリコッキングを伴いつつ両手は共に真っ直ぐに伸ばされた状態を維持し、それはダウンスイングが背中、両肩、上腕の順番で同じプレーンにおいて発生し、完全なフォロースルーの終わりまで続けられる。このシーケンスをほぼ完璧に示しているのが11:2のベン・ホーガンのスイングの連続写真である。

11:2 ほぼ完璧に近い。このベン・ホーガンのスイングの連続写真は、各章で触れてきたモデル・スイングの特徴を随所に体現している。本章で論じている二つの特徴について言えば、(1)フォロースルのかなり広範まで左腕が真っ直ぐに伸ばされていること(写真14,15)、(2)インパクトの後における前腕の旋回が自然に継続されており、クラブヘッドのアークに対してフェースをスクエアに保とうとする意識が全くないこと。他の章で触れていることがらについて言えば、ワンピーステイクアウェイ(写真1,2)、ダウンスイングにおいてテンションを作る場所のシーケンスが、両脚、両ヒップ、体幹、両肩、両腕、両手首の順番になっており、いかなる箇所にも「緩み」が発生していないこと(写真4〜11)。またヒップのターンおよび横移動がダウンスイングを開始し、状態を連動させつつも両肩とクラブはトップの状態を良くキープしている点(写真4〜7)。ダウンスイングにおけるピボットの安定性(写真4〜11)。インパクトに向けてのおよそ90°の左前腕の旋回(写真9〜11)が行われる際、両手の移動量が少なくなっており、またインパクトで左手首がやや手のひら側に折れている点(写真11)。注意点:バックスイング、ダウンスイングの連続するタイミングに間違った結論を導かないこと。すなわち上記の連続写真の1コマは全てが同じ感覚で撮影されているわけではない(おそらく写真9〜14は等間隔のタイミングで撮影されていると思われる)。よってバックスイング(写真1〜4)はダウンスイング(写真:5〜12)の半分の時間で行われているわけではなく、実際のバックスイングにはダウンスイングの二倍の時間がかかっている。

ここでも注目すべきことは、ハブ全体のアクションがフォオースルーでスローされた際にオートマチックに停止していることであり、それが発生すると同時に、左肘は、フォロースルの終点においてクラブヘッドが自然に停止するポジションまでオンプレーンでスイングすることを可能にするために、自然に「曲げられる」ことである。ここでは、柔軟性、スイングの長さ、そしてリストアクションの強度の全てがここに至る結果に影響している。プレイヤーの背骨、胸部、肩の構造の持って生まれた柔軟性も同様である。

逆に言えば、フォロースルーのこの時点までに、つまりスイングが両肩の高さに達するまでに左腕を真っ直ぐに伸ばせない傾向があるプレイヤーは、ボールに向けたフォワードスイング全体の自然でシンプルな結果を生み出すための何らかの動作を抑制しているということが考えられる。


11:3 右手による左手のクロスオーバー。写真は若干誇張されているが、フルショットにおいてはインパクトの直後に自然に発生するものであり、その発生量はインパクト直前までに行われた前腕のロールの量に比例する。これを阻害しようとすることは、とりわけフルショットの場合スイングを複雑なものにする可能性が高い。

11:4 アーノルド・パーマーが3Wを打った写真であるが、インパクトにの直後に顕著なクロス・オーバーを発生させている。ハーフショットもしくはそれ以下のショットにおいて、クラブのフェースや両手をボールの飛球線方向にスクエアに保とうとすることはしばしば行われている。しかしロールを伴うフルショットにおいては(フェースをシャットに使う場合であっても)インパクトの後に同じだけのロールを発生させる必要がある。

ということはバックスイングで開かずに上げたならばダウンスイングでも開いてはいけないという事になるわけですね。

フォロースルーは単純性の究極である

フォロースルーにおける基本的な概念は、フォワードスイングからインパクトにかけてのアクション全体を、自然なフリーホイールの継続によって成し遂げたことの単純な結果であるということである。

よってプレイヤー、すでにフォワードスイングにおいて発生している単純性を変更することなく、フォロースルーだけを安易に変化させることは出来ない。

最もパワフルかつ再現性の高い2レバーのフォワードスイングのモデルは、実現可能な最大限の機械的単純性を有しており、そのためスイング全体における特別、あるいは現実的な目的に寄与しない、人工的なフォロースルーの変化に対しては大きな抵抗力を有している。

こうした問題の可能性は、実際のラウンドにおいて最も大きくなる。すなわち、ドローとフェード、ボールの高低の打ち分け、スピン量の増減といった目的のために、フォロースルーを変化させることで対応したくなる理由が増えるからである。しかしあらゆるプレイヤーにとってのゴルフボールを打撃するための基本的な方法について言えば、最善の結果は、常に最も単純である可能性を追求する場合、そして打撃を最も高い再現性で行おうとする場合に伴うのである。

これこそが、モデルによるスイングの研究が指し示す最も偉大なレッスンの一つなのである。

どうでもいいんですけど最近気づいたことの一つに、アイキャッチ画像が女子だとクリック数が増えるということがあります。あたりまえなんだけどこういう教科書に森美穂さんのアイキャッチ画像を多用するのもナンなのでこなままの作風でいきます。。。

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