みなさま、新元号「令和」明けましておめでとうございます。
元号が変わっても引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
《お断り》今回の記事は特定の選手をDisることを目的にしたものではありません。
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ライブ中継の意義
先週末の土日は仕事でしたのでライブで中継は見られなかったのですが、平成最後の女子トーナメントである「フジサンケイレディストーナメント」が行われておりました。我らが松田鈴英選手も最終日-4と伸ばして一時優勝争いに絡んでおりました。
(C)ALBA こういうベタなことをさせるのはおっさんの記者なんだろうなぁと思う。
だもんでTV映ってるだろうなと思って月曜から録画で見ていたのですけど、今回フジテレビ系列が頑張ったのは地上波とCSとBSと4K放送まで使ってほぼ三日間をライブで中継し続けたと言うことなんですね。
前にも記事でぼやいてたんですけど、やっぱスポーツはライブ中継するというのが基本原則だと思うのですよ。松田鈴英選手がトップに並んだ時点の-5の選手が全員若手で「誰が勝っても初優勝です」なんてとっても望ましい展開になって、きっとフジテレビの人は「またジャンクSPORTSに呼んで浜田と絡ませるか」なんてほくそ笑んでいたと思うのですけど、その直後に申ジエ選手がバーディ連取で逆転優勝という塩展開になっても、ライブであればこそ放映を見続けたという人もたくさんいたと思うのですね。最終組が最後バーディ・イーグルとかで上がるかも知れないですし。
一方で日曜の真っ昼間に枠を確保して、さらには三時からの競馬という絶対的ライブ配信必須コンテンツの放映開始に間に合わせるために、プレーオフとかの状況も考慮してスタート時間調整して、なおかつ優勝争いのおいしいところをしっかり抜いて出来るならばスポンサーがトロフィー渡すところまでしっかり紹介コメント付きでコンテンツ配信しようというのは簡単なことではないと思うのですね。なにしろゴルフというのは順番にスタートしていく仕組みなので全体をおさえようとするとどうしても6〜7時間という長さになってしまうわけですから。
それでも今回フジテレビが一定の視聴層を獲得していたはずだろうと思うのは、もしこれが通常通りの四時頃からのディレイ編集放映をしたとして、どれだけ情報統制したところでこのご時世では放映前に結果がわかってしまうわけです。するとネットのニュースで「女子ゴルフ フジサンケイレディス 優勝は申ジエ 最終日63で逆転」なんてのがテレビ放映前に見出しでまず目に入ってきて、「じゃあおれのお気に入りのあの選手はどうだったんだ」ってなって結果確認して37位タイとかだったとしたら、
じゃ、観なくていっか
ってなりますよね普通。37Tじゃテレビ映らないし。
じゃあこれまでディレイの放映観てるのはどういう人たちかというと、おそらく
・日曜は競馬みてそのあとゴルフみる
・ネットには興味ない
・夕飯どきからは巨人戦みる(あれやってないの今日は?)
みたいなスタイルが定着している層ではないかと推測しますが、おそらくこういう方々は平均寿命から考えればそろそろお亡くなりになるわけです。
なので今回ライブ放映を貫徹して、単に視聴率の面でトクをしただけではなく、ゴルフのスポーツとしてのおもしろさを訴求したことで新たなファンの獲得にもつながった(であろうと推測される)のであれば、やはりライブ中継は視聴者やスポンサーにとって、またひいてはゴルフ界全体にとってもメリットが大きいということになります。
プレイヤー側の視点
まずライブだと編集できないのでやはり上位陣の選手を抜くしかありません。今回は優勝した申ジエ選手がやや早い組だったので、特に吉本ひかる選手などは首位でスタートしたこともあってかなり長い時間テレビに映ったわけです。結果的に優勝は出来なかったわけですが、これがディレイ編集放映だとどうしても優勝者を中心とした編集になりますのでこうしたニューヒロイン候補みたいな選手にスポットを当てづらくなってしまいます。
逆にちょっとした発言やハプニングなどもそのまま放映されてしまうので選手としては緊張感が増すと言うことはあるかもしれません。
で、本題なんですが、問題は申ジエ選手の17番のパッティングにかかった時間です。同組の松田選手がカップインしてからおそらく三分近くかかっていると思うのですね。
で、ライブだとこのアドレスでモジモジしてる絵を一分でも二分でもずっと放映しつづけないといけないわけです。でもってこれが入るんですけど。
ちょうどこのときライブ時間では私仕事してましたのでネットのリーダーボードしかみてなかったんですけど、前の組はもうF(フィニッシュ)になってましたので多分1ホール分以上空いてしまっていたと思われます。この間他の選手は後ろの組がグリーン空かないんで待つしかないのでやっぱこの映像写すしか手がありません。
ライブ中継だとこの間もなんか解説がしゃべるとかゲストが面白いこと言うとかしてつなぐしかないんですけど、これがスカイAでステップの解説してる岡本綾子さんなら「いくらなんでもアドレスしてから打つまでに時間がかかりすぎますね」とか、雨で中断しててもワンコ(シャンクという名前)とかお酒の話とかで何時間でもつなげるんですけど、ここで戸張さんの飼い犬の話とかされても全然興味ないですし、もうどうにもならなくて「いいから早く打てよ」状態になるわけです。
これがディレイ編集ならば打ったところだけで映像をつなげば良いので視聴者的には気にならないんですけど、今後ライブ中継が増えていくとこういうのは許されなくなるのではないかと。だってこの遅れが増えていって放映枠におさまらないとかになったらコンテンツとしての価値が下がってしまいますし、スポンサーとしても迷惑です。
申ジエ選手自体はこれまでも何度もスロープレーによる警告は受けているので、自覚はあるけど改善するつもりはないということだと思うのですね。そうなるとルールを厳格に適用するしかこの状態を改善するしかないということになります。
2019年のルール改正はとにかくプレーを早く出来るようにすることに重点を置いているように思えますが、これもライブ配信によるコンテンツの価値を上げることがゴルフ業界全体にとって重要であると認識していることの表れもあるんじゃないかと。
TGMとは直接関係ございませんが、皆様ご存知の通り来年1月1日からゴルフのルールがかなり大きく変わります。でもってこの大変更に際しては事前にアンケートした関係で暫定案が氾濫しておりますので、決定版のまとめを自分の備忘録を兼ねましてまとめてみます。ネタ元は本家英国R&Aのサイトです。本家(英語)のサイトは以下です。www.rules.golfルール変更の目的あくまで要約ですが、ゴルフの本来の競技概念を覆さない範疇において・誰にでもわかりやすい、根拠の明確なルールへの変更・どのような場合にも一貫した、シンプルでフ... 【図解】2019年 ゴルフ 新ルール《決定版》 - 大庭可南太の「ゴルフをする機械」におれはなる! |
海外では
そんなことを思っていたら、タイムリーにもルーク・ドナルド師匠のツイッターでこんなんが出てきました。
Our game is so much more enjoyable played to speeds that our rules set! #playbyourrules #readygolf https://t.co/oQuQsKF99w
— Luke Donald (@LukeDonald) April 28, 2019
フランチェスコ・モリナリの兄でやはりプロゴルファーのエドアルド・モリナリが、PGAのスロープレー違反者リストなるものを公開しました。PGAでは「遅い」と競技委員に認められると、そのプレーヤーに時間計測員がつきます。原則40秒以内にプレーをすることが求められますが、トラブル処理や救済、またティーイングエリアでもグリーン上でも最初に打つ選手は50秒とかいろいろ細かい規定があって、計測員は「もう問題なく打てるよね」という状態になったと思ったら計測をスタートします。で、その計測員が規定の時間を上回ったと判断したら「違反」になり、二度目から「罰金」になるようです。ところがこの3ページにも渡るリストでこれだけ多くのプレイヤー(もちろんみんなのデシャン坊もいる)が計測にかけられているにもかかわらず罰金になったのはわずかに三人で、「ルールとして機能していない状況を改善すべきだ」というのがモリナリ兄の主張のようです。
確かに一緒に廻っている選手(が遅いこと)の影響もあるので一概には言えないのですが、やはりルールはルールなので罰打も含めたペナルティを検討するべき時代に来ていると思うのですね。
まとめ
・やっぱゴルフはライブで観たいので中継局の皆さん頑張ってください
・その中継システムに悪影響を及ぼすスロープレー撲滅の努力が必要
・具体的には、計測→警告→罰打となるような仕組み
・結果ゴルフのライブ配信のコンテンツ力が上がって業界が賑わう
という展開が望ましいと思われます。少なくとも早々にディレイ編集配信の仕組みは根絶しないとゴルフ界が死んでしまうと思われます。
せっかく若くて実力もビジュアル力もあるプレーヤーがたくさん出てきているのですから、この流れを逃すことなく令和ではゴルフがより人気スポーツになることを期待したいと思います。
《お断り》今回の記事はせっかく松田鈴英選手が最終日好調だったのに後半スコアを伸ばせなかったのは同組の申ジエ選手のスロープレーの影響ではないかなどと申ジエ選手をDisるつもりは1ミリもありません。
全然関係ありませんが「ゴルフをする機械 The Golfing Machine 邦訳版」は三月、またJGF、4月の間に合計で7名の方にお買い上げをいただきました。誠にありがとうございます。これで通算出版部数は24部になりました。シングルレングスアイアンプロジェクトが現実味を帯びて参りました。令和もどうぞよろしくお願いいたします。