いろいろ忙しいのと本文長くなったのとで今回は余計な前口上は無しでいきます。
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下方のレバーをスイングすること
ゴルファーがモデルのシンプルなアクションを人間の構造に置き換えようとするとき、本章の始まりにおける五つのポイントの第五番目、すなわちゴルファーの持つ複雑性をどのように制御するかが重要となる。
バックスイングに関して言えば、我々は既に、ゴルファーがモデルの動作を再現するための独自の動作を基本的なシーケンスとして導入しなければならない際の、構造的な複雑性について考察を行ってきた。この複雑性は、モデルのヒンジの動作である、「上下に」強い手首のコッキング動作を行うことから発生している。
ダウンスイングの後半まで手首はコックを維持しなければならないこと、またそれによってクラブヘッドもまたプレーンにとどまり続けなければならないという事実は、バックスイングにおいてクラブヘッドをプレーン上にとどめておくための左腕のわずかな旋回(約30°程度)は、ダウンスイングにおいてはそれでも不十分であり、インパクトに向けてクラブヘッドが振り出されるまでに実際には90°程度まで増加させられる必要があることを意味している。このことは8:2の写真、もしくは第十一章のホーガンのスイングシーケンスの9個目の写真を見れば明らかである通り、両手はインパクトのポジションにさほど遠くない地点でも、左手甲はまだプレーンに対して直角の方向を向いているのである。
8:3 前腕の旋回の最終段階。(a)のポジションから(b)のインパクトのポジションまでに左前腕はほぼ90°旋回しており、手首のアンコックも同時に行われている。これら二つの状態にはわずかに0.02秒の差しかなく、両手が移動している距離はごくわずかである。
このことに関しての詳細な機械的理由については、読者にとっては自明のことかもしれないが、8:3にて説明を行っている。
8:3 これらの写真群は、左前腕の旋回が、アップスイングから始まり、ダウンスイングの途中まで継続して行われなければならないことをデモンストレーションしたものである。トップオブバックスイングのポジション(a)から、もし前腕がさらに旋回されることなく両手がダウンに向かった場合、クラブヘッドはプレーンの遥か外側に放り出される(b)こととなってしまう(試してみることだ)。(c)のようにプレーン内にヘッドを収めた状態を保持しようとする場合、さらなる前腕の旋回が必要となる。実際にはこの旋回はダウンスイングの前半において徐々に行われ、リストのアンコックと同時に急激にクラブヘッドがボールにスクエアになるように行われる。
「左手首のローリング」における人間の優位性
インパクトのポジションに向けて前腕をロールさせて急激にフェースをスクエアにする必要性は、実際にはインパクトに向けてクラブヘッドを加速させたいとするゴルファーの欲求に対して、この際の手首の動作が合致したものとなる点でメリットが感じられやすい動作であると言える。
試しに左前腕を右方向に90°旋回(解剖学的にはプロネーション:内旋)させたのち、インパクト時にフェースがボールとスクエアになるよう左手親指が上を向くように再度旋回(同じくスピネーション:外旋)させてみる。この後半の外旋という動作は、右利きであればネジ回しを使ってネジを押し込む際に使う腕の動きと同じであることがわかる。
人体にとってこの腕および手の動作は非常に力を入れやすい動作であり、実際にはゴルファーはフォワードスイングの自然なシーケンスの最終段階において、この動作と、よりシンプルな垂直方向のアンコックの動作を精密に組み合わせることを行っている。
ゴルファーは、クラブヘッドを「自然に」モデルの機械的なプレーンの要件に沿ってクラブヘッドを動かす際、この二つの動作のコンビネーションを使用することが可能なのである。クラブヘッドのインプレーンに発生している慣性が、これらがどのように連動するかと、フォワードスイングの全体の動作においてどの程度余分にパワーを付加出来るかを決定する。
ここで「ネジ回し」効果は、当然のことながらクラブシャフトと左腕に角度が付いている限り、クラブヘッドを加速させる効果を発揮する。もしこの二つの間に角度がない、つまり真っ直ぐな状態である場合、単にシャフト周りをクラブが旋回するだけになってしまう。よって我々は、積極的なリストアクションによってどの程度クラブヘッドを加速させることが出来るかについて、過剰な印象を持ち過ぎないように注意しなければならない。
これまで論じてきた左腕一本によるスイングにおいては、手首はおそらくより完全に脱力した、力の加わっていないユニバーサルジョイントのような動作を行っているはずである(ただし常にトップオブバックスイングで「ストッパー」は働く)。また重要なことは、例えリストアクション、あるいはアンコッキング、「ネジ回し」の動作によってパワーが付加されるとしても、それはクラブヘッドが自然に外周方向に振り出される動作を補助するものに過ぎないと言うことだ。
モデルのパターンに沿ったインパクトを通じたクラブフェースの操作
ゴルファーがボールを打撃する瞬間までのフォワードスイングのシーケンスにおける最終的な動作とは、左手首、より厳密に言えば左前腕を、アンコッキングによって真っ直ぐにすること、および「ネジ回し」の動作によって旋回させることである。これに伴い、以下が必要となる。
1. 下方のレバーが自然に振り出されることによって追い越し動作が発生し、その際に能動的な筋肉の動作によってスピードが付加出来る状況を整えること。
2. ダウンおよびフォワードスイングの後半以降にかけて、プレーン内をかかと方面に降ろされてきたクラブフェースが、ボールの打撃を行う地点までにプレーンに対して90°スイングされ、プレーンに対して90°のスクエアなポジションを達成する。
3. この際に投入可能なヒンジアウトの動作を発生させるいかなるパワーも含め、動作全体はこれまでの章で説明されたモデルのフォワードスイングの「自然な」シーケンスにフィットしたものでなければならない。
パターンの本質的なポイント
ボールの打撃に向けてのフォワードスイングのまとめとして、付け加えるべき本質的なポイントが一点だけ存在し、それはこれまでに説明されてきたスイングおよびアンコックの基本的シーケンスにおける、より洗練されたポイントと言える。これは全ての「良いゴルフ」における本質的、構造的な秘訣と言える。
ゴルファーが活用しているものに類似した作用群の動作を使ってスイングを行うモデルを作ろうとした際、それはインパクトに向けてのヒンジのアクションが8:4のような場合に最も効率的となり、
8:5のようであってはならないということを指し示した。
インパクトで8:6のように左前腕がクラブヘッドのはるか後方を指しているようなポジションを取った場合、通常のフルショットには遥かに満たないパワーしか発生させることは出来ない。
8:6 8:7との比較における「悪い」インパクトのポジション
つまりインパクトにおいては、左前腕のラインは少なくともクラブヘッド方向、望ましくは8:7のようにクラブヘッドの前方を指しているべきなのである。
8:7 「良い」インパクトのポジション。コンピューターによるモデルの分析およびプロのスイングの観察は、クラブヘッドが最高速度に達するのは、ヘッドが両手を追い越す直前になるという結論を導いた。
もちろんクラブヘッドが両手の前に来ているというインパクトのポジションもなくはないが、それはロブショットや高いカットボールなど、何らかの目的に沿った、例えば急激にボールを止めたいなどの「技巧」を重視した場合であり、ボールを遠くに飛ばすという目的のショットの場合ではない。
このことがモデルの考察から導き出されたものではないことも強調しておく必要はあるが、多くのトップレベルのプレイヤーのインパクトの瞬間の写真群は8:7にて表現されているポジションを取っていることについての豊富な裏付けが存在することから、これは「良いゴルフ」の一つに必須要件であると考えられる。8:8のダイ・リースの写真、あるいは第十一章のベン・ホーガンの例を参照して欲しい。
8:8 ダイ・リースのインパクトの瞬間。クラブヘッドが両手を追い越す直前でインパクトしていることを明確に指し示している。これを2レバーモデルに当てはめれば、下方のレバー(クラブ)が、上方のレバー(左手とネクタイを結んだ線)を追い越していないと言うことが出来る。
もちろんクラブヘッドが両手の前に来ているというインパクトのポジションもなくはないが、それはロブショットや高いカットボールなど、何らかの目的に沿った、例えば急激にボールを止めたいなどの「技巧」を重視した場合であり、ボールを遠くに飛ばすという目的のショットの場合ではない。
このことがモデルの考察から導き出されたものではないことも強調しておく必要はあるが、多くのトップレベルのプレイヤーのインパクトの瞬間の写真は8:7にて表現されているポジションを取っていることについての豊富な裏付けが存在することから、これは「良いゴルフ」の一つに必須要件であると考えられる。8:8のダイ・リースの写真、あるいは第十一章のベン・ホーガンの例を参照して欲しい。
まぁ今更フラットレフトリストかよって話ですが、確かに機械的なモデルでは「下が上を追い越してない状態」としか表現できないですね。