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日本でプロゴルフの大会が開催されない理由

おことわり:今回の記事はいつも通り大庭可南太イチ個人の考察記事であり、特定の団体、業界を非難するものではありません。あしからず。

もうここんとこアースモンダミンカップを4チャンネル同時視聴しながら仕事して、夜中にPGAのトラベラーズを見るという強行スケジュールの中同時に仕事をするというムリがたたって疲れがたまりがちでしたが

本日決勝第4ラウンドが行われる予定だったアースモンダミンが雨天のため明日に順延となったおかげで記事を書く余裕が出ております。

ただ今後の試合については女子ゴルフ、男子ゴルフとも開催のメドはたっておらず、アメリカのPGAなんてけっこう選手でも陽性反応がでているのに開催されていて、なんで日本では開催されないのかについて疑問を持たれる方も多いのではないかと思います。

今回アースモンダミンの最終日が中止ではなく、月曜に順延という措置が取られましたが、これってアメリカPGAでは当たり前ですが日本ではかなり稀なことです。このことと日本国内での大会開催のメドが立たないことは無関係ではないようなので、一応整理しておきます。

日本でプロゴルフの大会が開催されない理由についての考察

そもそも大会主催者がLPGAではない

前回の記事でも書きましたけど、ここ大事なところなんでもう一度書きますが、アメリカPGAの場合は大会の主催はPGAで、もちろんスポンサーの大会名になってますけど、コンテンツとしての所有権はPGAになるわけです。

LPGAの場合、大会主催者はスポンサー企業、もしくはその放映にかかわるテレビ局(あるいはその両方)だったりします。今回のアースモンダミンで言えば、主催者はアース製薬です。例年はテレビ朝日系列で放映してましたので、映像コンテンツとしての著作権はテレビ朝日になっていたわけです。

逆に言えば今回のアースモンダミンのように、アース製薬がお金を出すから「とにかく大会やろうぜ」となれば、LPGAは選手を貸し出して、ゴルフ場おさえて、制作会社と協議委員会があれば物理的には大会は出来ます。今回どのような理由があったかはわかりませんが、テレビ朝日での放映は見送られ、YouTubeでの配信ということになりました。ただ冒頭の写真でもわかるとおり、少なくない数の機材や解説スタッフを用意しての撮影ですので、YouTubeになったのでコンテンツのクオリティが下がったというわけでもなさそうです。結果的に視聴者としてはとても満足なわけです。

これで森美穂選手がマンデー通過出来てれば本当に言うことなかったのですが。。。

じゃあなんで他の大会は開催されないのか

そもそもどんなイベントを開催するにしても、お金は必要です。ゴルフのプロトーナメントとなれば当然億単位の費用がかかってきますので、企業のスポンサードが不可欠です。

では企業は逆になんでプロトーナメントのスポンサーを行うのかですが、あくまで会計的な考え方をすれば、これは広告活動ということになります。つまりイベントに冠スポンサーをするなり、その放映の中で自社製品のCMを流したり、その対価として制作費を支払うということになります。これは別にゴルフというスポーツに限ったことではありません。

ただ純粋に広告コンテンツということで言うと、ほとんどの場合三日間なり四日間にわたって行われる競技を、土日の夕方のせいぜい二時間の枠でダイジェスト放送するだけですし、誰が優勝争いをするかによって視聴率は変わるものの、まぁ取っても8%くらいでしょうから単純な広告費という点で言えばそんなに効率が良いわけではありません。

逆に言えば、テレビの放映なんて主催者や関係者にしてみればぶっちゃけどうでもよくて、最終日に大雨が降ったら前日までの成績で優勝者決めて競技成立にしても、決勝の放映枠でそれまでの三日間のダイジェスト流していれば良かったわけです。

生中継にしないのも、尺はとるし、パット遅いヤツはいるし、それほどすごい数字とるわけでもないし、しぶこ予選落ちしたら一般ピーポーは観ないかもだし、プレーオフになったりして競馬の中継とかぶっても困るし、編成大変更してまで翌日順延なんて誰が得するのって話で、いつも通り「相棒」の再放送の方がよっぽどラクに視聴率取れるしそれで関係者はみんな満足なわけです。選手や視聴者を除けば。

じゃあなんでスポンサーがトーナメントに金出すのかといえば

プロアマがあるから...

まぁ他にも理由があるとは思うのですけど、上述のように物理的には無観客なら大会は開催できますので、これだけ国内のトーナメントが中止になっている理由を考えるとこれが一番大きい理由なのではないかと思います。

プロアマを開催出来ない理由

プロアマやれば大会出来るけど、やれないなら大会そのものが中止になるというのであれば、がんばってプロアマやっちゃえよという話には当然なると思うのですが、プロアマに参加する人というのは主催者企業の取引先の経営者とかそういう方が多いので、ようするに

おじいちゃんばっかり

なわけです。そんな高齢者をいっぱい集めてみんなでプロ交えて接待ゴルフしてメシ喰って酒飲んで、そんな豪華接待ゴルフを「広告費」で開催出来ることがトーナメントの価値なわけですが、当然取り巻きや鞄持ちや送迎やらキャディやらスタッフもものすごい数になるわけで、今のご時世でそんなことまでしてクラスターだ集団感染だなんてことになったらエライことになるのを怖がって(そりゃ怖いわな)プロアマ強行とは誰も望まないわけです。

で、プロアマがないなら大会開催しても意味ないよなと主催者は考えてしまうわけです。

つまり日本の現在のトーナメントは、じーちゃんたちがプロのねーちゃんやにーちゃんとゴルフして遊ぶ接待のツールでしかなく、競技なんてそのオマケに過ぎない訳です。なので雨降ったら最終日は中止でぜんぜんオッケーなのです。競技なんてオマケだから。プロアマの日が晴れてくれれば関係者一同胸をなで下ろすという。

アメリカのPGAと韓国の女子では競技開催してますけど、当然プロアマはこれまでもあって、上記の理由でプロアマ開催は見送られていると思います。でも大会が出来ているということは、トーナメントのスポンサー=接待ゴルフ開催権ではないということをスポンサー側が理解しているということだと思います。

もちろん歴史的に日本のゴルフトーナメントが上記の概念を伴って発展してきたという背景も考慮に入れないといけないとは思いますが、改めて

スポンサーとは何か

を考えないといけない時期に来ていると思います。企業活動で得た利益をスポーツや文化の発展のために還元するという、大会終わりのスピーチとかで言ってそうな高尚な理念がホンモノであるならば、もっと大会開催されてるはずではないでしょうか。そういう意味で日本はアメリカはもちろん韓国よりも遅れているということになります。

プロアマをやめちまえという話ではないです。スポンサー獲得にもつながることなのでコロナ状況が改善すればどんどんやるべきです。ただそれがスポンサードの理由というのはちょっとおかしくないかと。

そしてそういう本来あるべき概念で大会を開催したいと考えたのは、日本の名だたる大企業のなかでいまのところ

アース製薬だけ

という状況についても大いに考える必要があると思います。今回の四日目を月曜順延の決定といい、YouTube配信を決断した件といい、今回の大会主催者の考え方には本当に一貫性が感じられますし、ゴルフというスポーツを文化として捉えているという点で本当に素晴らしいスポンサー企業だと思います。もうモンダミンがぶ飲みです。

今後に向けて

今回アースモンダミンカップがこのような形で開催出来たのは、テレビ局が絡まない単独主催であったことが大きいと思います。私の知る限りテレビ局というのは昭和的既得権概念の塊ですので、こうしたおじいちゃん接待が出来ない大会の開催は望ましく思っていないと思います。ちなみに今回アースモンダミンの制作、著作はアース製薬で、放映中に広告も全然入らないので広告費として計上出来るのかがちょっと心配なのですが。

ですがこの調子で大会が開催されないならば選手も協会もいずれは滅亡しますので、この際LPGAはテレビ局とは手を切って、全ての大会をLPGA主催として改めてスポンサーをつのり、放映権をテレビ局に売るのか、あるいは独自にネットでチャンネルを立ち上げて有料コンテンツにすればいいと思います。それでもスポンサーはつきます。今ならば。

大会中継以外はクソくだらないコンテンツと健康食品のCMしかやっていない、ゴルフネットワークとスカイAとジータスはいらないと全試合観られない状況なら、LPGAチャンネルをネット会員制にしてステップもレギュラーも全部生で放映してくれるなら余裕で月に二千円くらいはみんな払うと思うのです。

今回ゴルフネットワーク解約してGOLF.TV契約しましたけど、もう本当快適かつ安い(9,000円/年)のでなんでもっとはやくこうしなかったのかと思っていますが、良い機会なので業界や視聴者の意識も変わっていけばいいのになと祈念して本稿を終わります。

 

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